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EMC設計の案内人
第29回 静電気と戦うのは無謀?
2018.03.27

こんにちは。ダイメンション・デザイン・ソリューション部の濱田です。

もうだいぶ暖かくなりましたね。
寒くて乾燥した静電気の季節も過ぎてしまったので、今回で4回目となる静電気の話も
そろそろ終わりにしないといけませんね(笑)。
ということで、今回は静電気シリーズのまとめとして、静電気で誤動作しないようにするには
どうすればいいのかを考えてみたいと思います。

静電気放電試験で印加される電圧は接触放電で2000ボルト~8000ボルト、
気中放電で2000ボルト~15000ボルトです。
家庭用の交流電源が日本では100ボルト(交流なのでならすと100ボルトということで、最高電圧値はもっと高い)
なので、相当高い電圧だということが想像できます。
家庭用のコンセントで感電したことがある方は分かるかと思いますが、100ボルトでも結構痛いですよね...。
交流電源の場合は電流(移動する電荷量)が多いためです。
静電気の場合は人間が感じることができる電圧値は3000ボルト以上と言われています。
静電気は電流が少ないので電圧が相当高くないと人間は気づきませんが、電子機器は人間が感じない
静電気でも影響を受けます。
世の中の電子機器は乾電池1個(1.5ボルト)で動くものもたくさんありますよね。
超高速なデジタルICで駆動電圧が1ボルト以下のものもあります。
いくら電流が少ないと言っても、そんなところを2000ボルト以上もの電圧が直撃したら...
普通に考えて、無事では済まなそうです。

EMC29-1png.png
前回説明しましたが、静電気放電試験は「わざと」静電気を当てますので、逃げることはできません。
ですから、誤動作や故障をしないためには、自論ですが「静電気が侵入しても問題ない場所に誘導する」
という考え方が現実的かと思います。
正攻法でまともに戦うのは無謀に思えるので、私ならなんとか「いなす」方法を考えます。

もちろん、静電気が機器の内部に侵入しないようにできれば一番いいのですが、結構大変です。
静電気は放射ノイズと伝導ノイズの両方がありますから、どちらも侵入しないようにしなければなりません。
電子機器を金属の壁で囲んでその金属をアースすれば放射ノイズの侵入はほぼ妨げるかもしれませんが、
筐体が金属ではない製品だと簡単にはできません。
筐体の内側を金属にすれば、重量やコストの増加にもつながります。
筐体が金属だったとしても、隙間なく金属でおおわれている電子機器はほぼないと思いますので不完全です。
放射ノイズが金属に結合して伝導ノイズとして内部に侵入することもありますし、金属同士が向き合って
いるところは絶縁されていても、見えないコンデンサ(浮遊容量といいます)があるのと同じで、
高周波の電流は通過してしまいます。
伝導ノイズの通りそうなところにフィルタなどを入れても万全ではありません。

ただし、誤動作や故障を起こさなければ良いわけれすから完全に静電気をシャットアウトする必要は
必ずしもありませんよね。
ですから、静電気対策として効果のありそうなことはできる範囲ではやておいた方が良いかと思います。

EMC29-2png.png
私がおススメする「静電気が侵入しても問題ない場所に誘導する」という考え方ですが、
これは考え方としてはとても単純明快です!
電子機器が静電気によって誤動作や故障をしてしまうのは、電子回路内に静電気が
侵入した場合がほとんどです。
ですから、機器内のノイズに弱い電子回路以外の金属部分に静電気をなるべく誘導して、
そのままアースに流してしまおうという作戦です。
もう少し具体的に言うと、筐体の金属部分やネジ、留め具、基板の頑丈なGNDなどを通して
静電気を土に還してしまおうというわけです。
しかし、静電気は勝手にそういうところを通ってくれるわけではありません。
こちらが誘導しなければなりません。
どう誘導するのでしょうか?
電流は抵抗値の小さい方に多く流れますよね?
静電気も同じです。
ですから、アースまでの道順の抵抗値を下げて静電気を通りやすくしてあげましょう!
つまり、静電気を印加する所からの金属の導体を広く、そして、つなぎ目のある部分はしっかりと
導通させ、アースへつなぐ部分も可能な限り短く太くしておくなどします。
これが、静電気の直撃を受けないよう、できるだけ「いなす」という考え方の基本になります。
(と私は考えています)

EMC29-3png.png
何度も言っている通り、静電気への対応は非常に難しく、ケースバイケースの対策が
必要になることも多々あります。
今回私が説明した手段は考え方の一つですので、電子機器の静電気対策で困っている方の気持ちが
少しでも楽になればと思います。
そして、もっと万能ないい方法があったら私も知りたいので教えてください(笑)

というわけで、とりあえずは静電気の雑談からEMCの話まで持ってこれてホッとしてます。
せっかくここまでイミュニティ(受ける方の電磁波ノイズ)の話をしてきましたので、
次回からは静電気以外のイミュニティの説明をしようと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。


今回の記事はいかがでしたか
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