エンジニア派遣 電気設計/機械設計/システムエンジニアのスペシャリスト「図研テック」
EMC設計の案内人
第30回 イミュニティは「シンプルに考えること」が大切!
2018.04.24

こんにちは。図研テックの濱田です。

新年度になりましたね。
新しい人が入ったり、環境が変わったりしてまだ落ち着かない方もいらっしゃるかと思いますが、
この連載は変わらずマイペースで進んでいきたいと思います。
もし、新年度で新しい仲間が増えたという方は、仲間の方にもこの連載をお勧めしていただけると
嬉しいです(笑)。
今年度も引き続きよろしくお願いいたします。

冬の間、季節に合った話題をと思い、4回に渡って静電気の話をしてきました。
今回は静電気以外のイミュニティ(受ける方の電磁波ノイズ)の説明をしたいと思います。

この連載の最初のころから言っているように、この世の中はどこもかしこも電磁波ノイズだらけで、
全ての電子機器が常に色々な電磁波を受けています。
イミュニティ試験はそんな「世の中にあふれた電磁波を受けることを想定した試験」と言えます。
静電気以外のイミュニティ試験についてはこの連載の第28回で少し触れましたが、大きく分けると
「放射ノイズに対するイミュニティ」「伝導ノイズに対するイミュニティ」があります。
放射ノイズのイミュニティ試験は、空中を飛んでくる電磁波を受けて、電子機器が誤動作や故障を
しないかどうかを確かめるものですのでイメージしやすいかと思います。
伝導ノイズのイミュニティ試験は主に電源などのケーブルに直接ノイズを入れます。
ケーブルに入る電磁波ノイズというと色々なものが想像できると思います。
雷(サージ)もそうですし、急に電圧が変動したり、瞬間的に停電した時など、それぞれの状況を
模擬して試験が行われます。
(※雷に関しては放射ノイズのイメージがあるかもしれませんが、雷のイミュニティ試験は
電子機器に雷が直撃したという状況ではなく、どこかの電線から伝わってくるノイズを想定しています)

様々な試験項目がありますが、どの試験にも共通して言えることは、静電気同様、「わざと」
電磁波を電子機器に印加するわけですから逃げることはできません。
また、外から来た電磁波によって電子機器に何が起こるのかをあらかじめ予測するのが困難なのも
イミュニティ試験の全てに共通しています。

EMC30-1png.png

ただし、自論ですが、静電気に比べると他のイミュニティ試験はちょっとだけ対応がしやすいと
言えると思います。
なぜかというと、「どんなノイズが、どこから飛んでくる(伝わってくる)か?」が
だいたい分かっているからです。
イミュニティ試験の対応で苦労したことがある方には「そんな簡単じゃないよ!」
と言われてしまうかもしれません。
私もイミュニティは大変だということは痛いほどわかっているのですが、私のモットーは
「面倒なEMC問題をいかにシンプルに考えるか?」ですから、困った時こそ難しいことは考えず、
原点に戻って考えることはやはり大切だと思います。

EMCの原点に戻るということは、電磁波ノイズが外から電子機器に入った時の状況を、
「クーロンの法則」、「アンペールの法則(右ねじの法則)」、「ファラデーの法則(電磁誘導の法則)」や、
「電磁波の共振」などの基本原理に当てはめて考えるということです。
一見、遠回りに見えるかもしれませんが、やみくもにフィルタやシールドを追加して対策をするよりも
コスト面でも汎用性の面でも有効です。
もちろん、フィルタやシールドが必要ないわけではありません。
原理原則に当てはめた結果、フィルタやシールドが必要と考えられたなら、その上で、「必要なものを
必要なだけ」追加すれば効果も大きく得られる可能性が高くなるということです。

EMC30-2png.png
まず、放射ノイズへの対応を考えてみましょう。
噛み砕いた言い方をすると、飛んでくる電磁波の影響をなるべく受けないようにする方法を
考えるということです。
イミュニティ試験ですから、電子機器は電磁波を必ず受けます。
しかし、電子機器がそれを受け取らないようにすれば良いわけです。
電磁波をなるべく受け取らないようにするには、電磁波を受けやすくする方法の逆を
考えればいいはずです。
電磁波を受け取りやすくするために使うものは何でしょうか?
ピンときましたか?
そうです。「アンテナ」ですね。

この連載の「出す方の電磁波(エミッション)」の話の中でアンテナの説明をかなり詳しくしてきましたが、
その時の結論は「いかにアンテナを作らないか≒いかに効率の悪いアンテナを作るか」ということでした。
その考え方は受ける方の電磁波も同じことです。
電子機器に意図せずできてしまうアンテナは主に、「ダイポールアンテナ」、「ループアンテナ」、
「スロットアンテナ」です。
これらをなるべく製品内に作らないということが、放射ノイズによる影響を受けないようにする
第一歩となります。

EMC30-3png.png

少し抽象的な話になってしまいましたが、今回は私は新しいことは何も書いていません。
「発想の転換」をしただけです。
この考え方を踏まえて、次回は放射ノイズを受けないための具体的な手法を説明しようと思います。
この連載の第15回~第18回でアンテナが電磁波を出す原理を詳しく説明していますので
一度振り返って読んでいただければと思います。
アンテナの原理が理解できていれば、説明するまでもなく具体的にどうしたらいいのかも
予想がついてしまいかもしれませんが、来月の記事もぜひお読みくださいね!

今回もお読みいただきありがとうございました。
今年度も頑張りますのでよろしくお願いいたします。


今回の記事はいかがでしたか
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