エンジニア派遣 電気設計/機械設計/システムエンジニアのスペシャリスト「図研テック」
EMC設計の案内人
第32回 磁界も「出す=受ける」と考えられるのか?
2018.06.25

こんにちは。図研テックの濱田です。

前回は放射電界イミュニティ試験への対応として、電界を受けにくいアンテナについて説明しました。
今回は放射電界イミュニティ試験への対応として、磁界を受けにくいアンテナはどうやって作るのかを
考えてみましょう。

だいぶ前に説明したことの復習となりますが、磁界が大きく関係する電磁気の法則は、
導体に電流を流すと同心円状に磁界が発生するという「アンペールの法則」と、
誘導電流の大きさはその回路を貫く磁界の割合に比例するという「ファラデーの電磁誘導の法則」
の2つです。

EMC32-1png.png導体に電流が流れるとアンペールの法則に従って磁界が発生しますが、その導体がループになっていると
発生した電界がループの内側で強め合って大きな磁界が発生します。
これが「ループアンテナ」の磁界放射の原理です。
(ループアンテナが電磁波を放射する原理は、ループアンテナ上の電流の波長によって異なるので、
詳しくはこの連載の第18回の記事を参照してください。)

磁界を出しやすいアンテナがループアンテナですが、磁界を受けた場合はどうでしょうか?
ループアンテナを磁界が貫くという現象はまさに「ファラデーの電磁誘導の法則」そのものですね。
よって、導体上に電流が流れることになります。
電子機器上に存在するループ状になっている導体が、電気信号を伝送する基板上のパターンや
ケーブルの場合は、その電気信号に「余計な電気=ノイズ」が乗ってしまうことになります。
これは直接誤動作につながる原因になります。
ループ状になっている導体が電気信号を伝送しない筐体や何かのフレームだったりした場合は、
電流が流れても直接誤動作はしませんが、電流が流れることによってそれが電磁波を再放射する
アンテナになります。
前回書いた通り、イミュニティ試験の難しいところは電子機器内にノイズが侵入した後、
行き先が追いきれなくなってしまうことです。
ですから、ループアンテナからの再放射は思わぬところに影響が出て、原因を追いづらくなる
一因になります。

EMC32-2png.pngでは、磁界を受けにくいループアンテナはどうやって作れば良いのでしょうか?
それはもちろん「導体でループを作らない」ということが第一なのですが、
スロットアンテナなどと同様、わざわざ好きでループを作っているわけではなく、
「知らないうちにできてしまっている」または、「そうせざるを得ない」というだけですよね。
できてしまったループアンテナの受信効率を下げるにはどうしたら良いのでしょうか?
ここで、ファラデーの電磁誘導の法則を思い出してください。電磁誘導によって導体に流れる
電流は、ループ内を貫く磁界の変化量が多いほど増えるわけですから、その方法は、

①ループを小さくしてループ内を通る磁界を減らす
②ループ内を通る磁界の変化量を減らす

しかありません。
②はループ内を通る磁界の周波数を低くできれば可能ですが、イミュニティ試験は周波数が
決まっていますので、電子機器の側からは変えることはできません。
しかし、①に関してはちょっとした工夫で効果が出る可能性があります。
ループを作っている導体の「長さ」は変えられないこともあると思いますが、
ループで囲んでいる面積はループをなるべくシャっとつぶして小さくなるようにしましょう。
例えば余っているケーブルなどは適当に巻いておかないで、巻いた後しっかりとまとめましょう。
また、ループが磁界が飛んでくる方向を向いていると一番磁界が多く通ることになりますので、
筐体の開口部などの方向にループの面を向けないようにすることも有効です。
これは前回説明したダイポールアンテナの向きの考え方に似ています。

EMC32-3png.png
ループアンテナに関しては送信と受信で少しメカニズムが異なりますが、ループを小さくした方が
良いことや、ループの向きに関してはやるべきことは一緒です。
放射磁界イミュニティ試験に関しても、あまり難しく考えずに原理に戻って考えていくことが
大切になります。
また、電磁波は電界と磁界が別々に存在するわけではなく、必ずセットになっていますので、
電界へのイミュニティ対策は磁界のイミュニティ対策にもなりますし、逆も同様です。

次回は伝導ノイズに関するイミュニティ試験について考えてみたいと思います。
伝導ノイズも色々な種類の試験がありますので、なかなか一筋縄ではいかないかもしれませんが
なるべくシンプルに考えられるように現象を紐解いていきたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。


今回の記事はいかがでしたか
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