電子部品とプリント基板の熱モデル(1Dモデル)作成のコツ
2019.08.27
はじめに
電子機器設計の熱問題解決には、3DCAE(熱流体解析)や設計者の机上計算など、様々な取り組みがありますが、本記事では1Dシミュレーション(1DCAE)・MBDについてお話しようと思います。 図研テックは1Dシミュレーション・MBDに関連するサービスとして「シミュレーションツールの販売」と「導入支援」「受託解析サービス」を行っています。今回から全3回で1Dシミュレーション・MBDの活用にあたり、非常に重要になる1Dモデリングについてコツや注意点などを解説します。
一口に1Dモデリングといっても、様々なアプローチ(作成方法)があり、1Dモデル化する対象によりアプローチは変化しますので、今回は図研テックとして、最もなじみ深いプリント基板と実装されている電子部品の熱モデルを題材に話を進めたいと思います。
1Dモデリングは準備が重要
プリント基板と実装されている電子部品の熱モデルを1Dモデリングするにあたり必要なことは、熱回路網法で計算するのと同様に、これから計算したい対象物の熱の伝わる経路を明確にしておくことです。すでに熱回路網法で熱計算をされている方ならイメージしやすいと思いますが、伝熱経路を明確にしないで1Dモデリングをしてしまうと、全く現実に即さない1Dモデルとなってしまう可能性が高くなりますので、面倒ですが必ず行うようにしてください。
伝熱経路が明確にできたら、次は1Dシミュレーションツールの出番です。作成した伝熱経路をもとに、すでに1Dシミュレーションツールに用意されているライブラリ内のエレメント(熱抵抗)を組み合わせてモデリングしていきます。
熱抵抗のエレメントは基本的に伝熱3形態(伝導、対流、輻射)ごとに用意されており、商用ツールであれば電子基板やICの寸法を入力すると熱伝達係数を含む熱抵抗をツール内部で自動計算してくれます。オープンソースのOpenModelicaでは、用意されているライブラリでは熱伝達係数や熱抵抗の値を手入力しなければいけないため、他のツールで計算するか、商用ツールのように寸法入力から熱抵抗を自動計算するようにカスタマイズを行うことになります。
1Dシミュレーションは“合う”のか?
1D、3Dを問わず「シミュレーション」の結果について、最も気になることと言えば「実測値と“合う”のか?」といった疑問だと思います。
そこで、図研テック社内で行っている簡易電子基板における1Dシミュレーションの検証事例を紹介します。
今回例示したモデルは発熱する抵抗が一つだけでしたが、複数発熱する場合、このモデルでは実測結果と乖離していきます。何故そうなるのか?ではどうしたら良いのか?それについては次回、お話しさせていただきたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。
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