ZUKEN TEC NEWS

電子機器の熱問題対策で「よくある課題」とその解決策

突然ですが、電子機器の製品開発において、熱に関連する以下のような課題はありませんか?

  1. 要求の高度化(高出力化、小型軽量化等)により、従来の設計手法では熱問題を回避できなくなってきている
  2. 要求の高度化に伴う製品が複雑化しているにもかかわらず、設計期間はこれまでと同じ、または試作回数の削減といったことも求められ対応に苦慮している
  3. 1.2.のような課題を解決するために導入したツール(1D/3DCAEツール)をうまく使いこなせない

先日開催したオンラインセミナー「サーマルマネジメントセミナー2021 シミュレーションと測定の技術の新常識」のなかでも、視聴者の皆様から、実測との整合、個々の部品の発熱量の見積方法など、技術的なお悩みに加えて、

  • 従来は簡易検討から詳細なシミュレーションまで実施できていたが、製品構成が複雑になった現在はシミュレーションの使いどころ・使い方が難しくなっている。
  • 開発スパンが短くなっているので、工数のかかるシミュレーションは実施しにくくなってきている。
  • シミュレーションツールを使いこなすためには、それなりの準備(スキル)が必要という印象が強く、なかなか手が出せない。

というように、シミュレーションを実施する“業務”についてのお悩みも多数伺いました。

1.~3.の課題の原因と解決の方向性について、図研テックの考え方をご紹介します。

 

課題1
要求の高度化(高出力化、小型軽量化等)により、従来の設計手法では熱問題を回避できなくなってきている

近年の電子機器は民生品に限らず産業機器製品においても、小型・高性能化の要求が当たり前になっています。
そのため、基板の実装密度が上がり、筐体サイズはギリギリまで小さくなり、といったように電子機器全般における発熱密度は大幅に上昇しており、熱設計の難易度が上がっています。

原因

製品の小型化に伴って筐体内部に部品が密集することになり、筐体内部にほとんど空間がないことがあるため、筐体内空気温度と部品温度を予測し、熱対策を検討してから構造検討を行う従来の熱設計手法だけでは熱問題に対応できない。

解決の方向性

筐体内部に部品が密集している場合は主な放熱経路が熱伝導となるため、その経路を考慮(イメージ)しながら構造検討を行う、熱伝導主体の放熱手法を実施する必要があります。

これからの熱設計はこの熱伝導主体の手法と従来の手法を製品の構造によって使い分けなければいけませんが、ここで有効なのが1Dシミュレーション・MBDではないでしょうか?

1Dシミュレーション・MBDでは基本的に熱抵抗で計算モデルを構築するため、どの箇所にどのくらい熱が流れ、その結果どれくらい温度上昇するのかが可視化しやすいのが特徴の一つです。またどのような形状にすると熱抵抗がどう変化するかなど、設計値(寸法など)と熱抵抗の関係性も分かりやすく可視化できるため、熱設計の勘所を短時間で身に着けることも可能です。

したがって、製品の構造の違いにより熱設計の手法を変化させる必要があるこれからの熱設計には、放熱経路を把握しながら構造検討できる1Dシミュレーション・MBDが有効だと考えます。もちろん、従来の熱設計手法にも1Dシミュレーション・MBDは活用できます。

 

課題2
要求の高度化に伴う製品が複雑化しているにもかかわらず設計期間はこれまでと同じ、さらに試作回数の削減といったことも求められて対応に苦慮している

課題1でも述べたとおり、昨今では、熱設計は高難易度化し、商品化するまでに解決すべき課題が増加しています。尚且つ、開発コスト低減の観点から試作回数削減も求められる昨今では、お客様から「どのように熱設計を進めていけばよいのかわからない(わかりにくくなっている)」といったご相談を受けることが増えてきました。

原因

設計上流での効果的な検証(シミュレーション、解析の活用)がうまくできていない。

解決の方向性

設計上流では3Dの形状データがなく3DCAE(熱流体解析)による検証ができない場合や、そもそも電気(回路・基板)部門で3D形状データがない(入手が難しい、入手しても扱いが難しい)場合があります。

このような場合でも1Dシミュレーション・MBDは有効です。基本的に1Dモデルは数式や論理式で構成されているため、寸法など形状の数値さえあればモデルを作成することができます。さらにその寸法を変数とすることで、その変数を範囲内でいくつか設定して計算を一括で実行するパラメトリックスタディも短時間で実施できるため、パラメータ変更による影響を知りた(感度解析など)設計上流では1Dシミュレーション・MBDが有効ではないでしょうか?

また、3D形状があり、尚且つ3DCAEが実施できる環境であっても、設計上流でパラメトリックスタディを3DCAEで実施するには計算負荷も高くなりますので、特に変数が多く、変数の範囲が広い設計上流では、1Dシミュレーション・MBDと3DCAEの併用(=開発フェーズによる使い分け)が有効だと考えます。

 

課題3
課題1や課題2のような課題を解決するために導入した3DCAEツールなどをうまく使いこなせていない

3DCAEツールを“うまく使いこなす”ためには、流体や伝熱、数値解析などの理論を知ることが有効ですが、3DCAEの必要性、実施頻度が高まりつつある現在では、解析を専門としないエンジニアが3DCAEを行わなければならないケースが増えています。
解析を専門としないエンジニアが、これらの理論を独学で習得することは決して容易ではないため、計算結果を正しく読み取れないなど、3DCAEを十分に使いこなせていないケースが見受けられます。

原因

3DCAEでは結果(温度や風速)は分かるが、何故そうなったのかが分かりにくく効果的な対策検討につなげにくい。

解決の方向性

課題1の解決の方向性にも挙げたとおり、1Dシミュレーションの特徴のひとつに熱の流れの可視化があります。3DCAEにおける“何故そうなったのか分かりにくい”問題の原因は、その結果に至る熱の流れを把握しにくいところにあります。
1Dシミュレーション・MBDでは熱の流れが分かりやすく、熱の流れに着目しながらパラメトリックスタディを実行することができますので、要因分析を効率的に行うことができ、効果的な対策検討を実施することができるのではないでしょうか?

1Dシミュレーション・MBDでここまで実施できれば、詳細形状を織り込んだ3DCAEの結果からは、従来よりも多くの気づきを得ることが可能となり、より詳細な検証を効果的に実施できると考えます。

 

まとめ

ここまで、製品開発の熱問題対策における「よくある課題」、その原因と解決の方向性について述べてきましたが、図研テックでは、どの課題に対しても1Dシミュレーション・MBDが有効であると考えています。

また、これら課題と向き合い1Dシミュレーション・MBDを有効活用することには、以下のようなメリットがあるのではないでしょうか?

  • 開発製品の要求仕様・構造に合った熱設計手法を使い分け、熱設計の勘所を短期間で身につけることができる
  • 変数が多く、変数の範囲が広い設計上流でパラメトリックスタディを実行し、パラメータ変更による影響を短時間で把握できる
  • 熱の流れを理解しやすいため、熱問題の要因分析を効率的に行い、限られた工数のなかでも効果的な対策検討を実施することができる

一方で、お客様のなかには、1Dシミュレーション・MBDについて、「モデル構築が難しいのでは?」「新しいツールを導入して使いこなせるか心配…」など、導入のハードルが高いイメージを持たれている方がいらっしゃることも承知しています。

そのハードルを少しでも下げるために、図研テックでは、熱の課題解決に特化した1Dシミュレーション・MBDサービスをご提供しています。

図研テックの1Dシミュレーション・MBDサービス項目

  • 熱設計に使える1Dシミュレーション・MBDモデル(ZtecMBDモデル)の販売
    ※モデル販売開始は2022年4月予定
  • お客様の開発製品の1Dシミュレーション・MBDモデル構築の請負
  • お客様の開発フローに合わせた1Dシミュレーション・MBDモデル作成手法の構築・熱計算シート作成等のコンサルティング
  • ツール(SimulationX)販売、ツール導入支援

1Dシミュレーション・MBDサービスの詳細は、資料をダウンロードしてご覧ください。
本記事で解説した内容の補足する1Dシミュレーション・MBDの使いどころを資料化しています。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

1Dシミュレーション・MBDについて、「もっと詳しく知りたい」「具体的に相談してみたい」という方は、下記のフォームよりご連絡ください。「こんなことができたら良いな」といったご意見も大歓迎です。図研テックのCAEエンジニアがお客様のご相談・お悩みにお応えします。

 

 

 


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