エンジニア派遣 電気設計/機械設計/システムエンジニアのスペシャリスト「図研テック」
DDS 性能は寸法で決まる!
第19回 ねじと寸法
2017.12.19

こんにちは、図研テックの藤田です。

今回は「ねじと寸法」という題で書こうと思いますが、ねじの話はすごく奥が深いので、思いついた点だけ書こうと思います。
歴史を含めた深い話はウィキペディア等を参照してください。
ウィキペディアでは、ねじは別個の部材の締結に用いられると書いてありますが、私がメーカにいたときは「ねじは2種以上の目的で
用いること」と言われました。
これは、単に締結だけなら一体化してねじを省け、ということで、品質機能展開とともに教えられたことです。
例えば無線機には必ずアンテナが必要ですが、例えばロッドアンテナは根元にねじ穴があり、無線機にねじで固定します。
しかし単に無線機に固定しただけではアンテナの役目を果たしませんよね?
送信基板の出力端子に直接またはケーブル等を介してアンテナを接続しないと、アンテナとして機能してくれません。
つまりこの場合、アンテナを固定するねじは、アンテナと回路の出力端子とを接続するという機能も併せ持っているので、
2種以上の機能がねじに与えられるのでOKとなります。
一般にエレクトロニクス製品の場合は金属筐体がフィールドグランドやシグナルグランドのように「接地」の機能を持つので、
ねじは単に固定だけでなく、電気的に接続するという役目を持っています。
逆にプラスチック筐体の場合は導通がないので、単なる締結ならなるべく勘合用の爪などを成形して、ねじレスを狙う必要があります。

ぜんぜん寸法の話になっていませんね。
寸法の話に切り替えましょう。
ねじは釘に螺旋状の山を設け、反対の穴には螺旋状の溝を切って、溝に山がハマるようにして回し込んで締結する部材ですよね。
だから勘合のため寸法的に重要なのは山と溝の部分ですが、強度的にはねじの谷径と言われる最も細かい部分の直径だったり、
また緩み止めとしては山と谷の部分、いわゆる「ねじ山」の寸法が重要ですね。
山と谷の接触部分の摩擦力がねじの回転止めになっているので、ねじ山の三角の表面積が重要です。
もう一つ摩擦力がかかる部分が、ねじ頭の裏ですね。ねじ頭の形状は大きく丸と皿に分かれますが、どっちの方がねじ頭の裏面の面積が
大きいでしょう?
普通は皿の方ですよね?
だから摩擦力は皿ねじの方が大きいと思いますが、皿ねじは皿穴に対しあそびが無いので、位置決め寸法はシビアですね。
大体ここらへんの話は一般的ですが、製品設計しているともっと細かい話に悩んだりします。

たとえばPCを自作する方ならよくわかると思いますが、HDDやSSDの表面には固定用のねじ穴が開いていますが、固定用のねじの長さで
悩んだことありませんか?
普通は固定用ねじが添付されるのでそれを使うと思いますが、添付ねじがなくなった時など、どれくらいの長さのねじにすればいいかで
困ったりしませんか?
ナットを使う場合も、ナットから何ミリねじが出ているのが適正なのか?なんて悩みませんか?

ねじを固定した時の力の関係を考えると、まずちゃんと設計製造されたねじなら、ねじ頭裏面が締結物に接触するまで軽く回り、
それからドライバーやレンチなどで力を加えてねじを締結しますよね。
このときねじ山の表面やねじ頭の表面に摩擦力が加わるのと同時に、ねじ全体に引張り力が加わります。
いわゆる「初張力」ですよね。
このため締結されたねじは最初からこの初張力が加わっているので、例えばそのねじが100㎏/㎟の応力に耐える必要があるなら、
これに初張力を加えた応力に耐えるねじを選定する必要があります。
もしこの設計上の許容応力を超えた力がねじに加わったら、どこから破断するでしょう?
剪断ならねじの一番細い谷径の部分で破断しそうですが、引張の場合はねじ山が剪断力を受けるそうです。

私が大学で習った知識では、鉄鋼ねじの場合は全引張力の約半分がねじの第1山にかかるそうです。
第1山が破断すると、なし崩し的に第2山、第3山と破断するので、強度計算する場合は第1山に引張力の50%がかかっても
破断しないようにねじ径またはねじ本数を決めると習いました。
これ現代でも使えると思っていますが、どうでしょう?
ちなみに鉄鋼ねじ以外は応力集中のしかたが違うので、違う計算が必要と(約35年前に)習いました。

さて、以上の話からすると、雌ねじから雄ねじがどれくらい突出していればいいか?は、突出していても最初に根本の第1山が崩れたら
破断するなら、突出していても意味がないことになりますが、どうなんでしょう?
(ねじだけの引張試験ってやったことが無いので、私も明快な答えは持っていません。)
ただセットメーカでは組立性等の問題からねじの突出量は1.5山とかに決めていると思います。
(長く突出させるとねじを回す回数が無駄に増えるため)
また逆に雌ねじの山数はだいたいどのメーカも「3山以上」という決め方をしていると思います。
だから例えばM3ねじはピッチが0.5㎜なので、3山以上だから1.5㎜以上の板じゃないと使えないとか、
薄板の場合はバーリング加工が必要だ、というように下加工方法を決めますね。
ねじと寸法の話はこんな感じで色々あるので、御社ではどう決めているのか、いま一度おさらいしてみてはどうでしょうか?
ねじの強度計算についてはねじメーカさんなどから情報が出ていますので、参照してみてください。

◆執筆者プロフィール------------------------------------------------------------------------------------------------------◆
藤田 哲也
図研テック株式会社 ソリューションエンジニアリング 技監
 1981年沖電気工業(株)入社。無線伝送装置の実装設計、有線伝送装置の実装設計、および取りまとめを経て、
 2002年(株)ジィーサス入社。熱設計・EMC設計・実装技術のコンサルティングや教育に従事。
 2008年から回路・基板・実装に必要なトータル技術を提供する設計サービスに従事している。

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