エンジニア派遣 電気設計/機械設計/システムエンジニアのスペシャリスト「図研テック」
DDS 性能は寸法で決まる!
第20回 包装と寸法
2018.01.30

こんにちは、図研テックの藤田です。

今回は包装設計の話を書いてみたいと思います。
皆さんは、製品設計だけでなく、その製品の梱包箱を設計したことはありますか?
最近の設計部門の業務範囲がどうなっているのかわかりませんが、おそらく梱包箱の設計は
〇〇ロジスティクスのような、物流専門の関連会社に任せている場合が多いのではないでしょうか?
私がメーカにいた頃は、製品の揺りかごから墓場まで面倒見ろと言われていた時代なので、
製品を無事にユーザへ届けるまでの設計もすべて自分たちで行いました。
現代の物流の主役は宅配便に代表されるように運輸専門会社ですが、私が昔設計していたような通信機などは、
そのメーカの運輸部門が顧客まで製品を輸送し、設置までを行っていました。
このような運輸形態の場合は実際に輸送する人が製品の強度などを把握し、腫れ物に触るような慎重さで輸送して
いたのですが、時代の変遷とともに物流は専門業者に任され、荷扱いをメーカがコントロールできない環境になっていきました。
現代の物流環境は皆さんもテレビ等で見ることがあると思いますが、無人の物流センターにおいてベルトコンベヤーで
包装された製品が高速で流され、配送先ごとにロボットが仕分けする、具体的にはベルトコンベヤー上で製品が
叩かれたり転げ落ちたりして方向を変えて集荷場所へ移動します。
したがって製品にはかなりの衝撃や振動が加わるのですが、この外力に対し、製品が許容する外力まで
振動や衝撃を緩衝することが梱包箱の役目になります。
このため梱包箱の設計には製品が許容できる外力と、輸送上で加わる外力の大きさを把握し、製品の許容応力以上の
外力が加わった時に、その力を許容応力以下に緩衝する方法を設計する必要があります。
しかも梱包箱は輸送が終わると廃棄されるので、コストはもちろん、リサイクルなどの環境保全のための
諸施策を考慮して設計する必要があります。
なので包装設計は製品設計と同等以上に計算能力や材料や環境などの知識を必要とするのですが、
一般的には製品設計製造に対する付帯業務とみなされ、裏方業務のように扱われているような感じがします。

しかし現代では包装設計もシミュレーションで評価しながら最適化を行う事例も増えているので、
今後は包装設計も構想設計段階で検討されていくのではないでしょうか?

さて、なぜこのメルマガで包装設計を取り上げたのかというと、緩衝設計もまた寸法に左右されるからです。
たとえばスマートフォンを誤って地面に落としてしまったとします。
落とした高さがhだとすると、接地直前のスマホは測度が(2gh)0.5ですよね?
それが地面にぶつかって測度が0となったとすると、運動量変化がm(2gh)0.5で、これが力積Ft(力F×衝撃時間t)と
イコールになる、というのは昔学校で習ったと思います。
衝撃時間はスマホが地面に接触してから静止するまでの時間ですが、スマホに加わる力Fは運動量変化を
衝撃時間tで割ると求められるので、スマホに加わる力を小さくしたければ、この衝撃時間を長くすればいいのですが、
具体的には綿のように柔らかい材料でスマホを厚く巻いてやることで、綿が接地してから中身のスマホが
静止するまでの時間を稼いでやればいいわけです。
このとき、綿ではなくゴムのような材料でスマホを巻くと、ゴムが運動エネルギーを溜め込んで、スマホが静止後に
エネルギーを放出して、静止せずにバウンドしてしまいます。
厚い綿の繊維が擦れあって運動エネルギーを熱に変換することで、バウンドせずに静止してくれるのです。
だけど製品すべてを綿で巻くわけにはいかないので、発砲スチロールのような緩衝材が使われています。
緩衝材料の性能は、私が現役のころは緩衝係数曲線というものを使っていましたが、いまはクッションカーブ
(最大加速度-静的応力線図)を使っているようです。

例えばスマホの梱包を考えるとすると、まず梱包箱としてはどれくらいの加速度に耐える必要があるかを調べ
(これは構造設計時に決めておく必要があります)、そしてスマホにどれくらいの外力を加えると壊れるのかを調べ
(というか設計して)、緩衝材料のクッションカーブで緩衝材料の厚さを決めます。
このとき緩衝材の厚さは製品として決まっているので、微調整するために接触面積でコントロールします。
皆さんが家電を買ったりして箱を開けると、発砲スチロールや紙のパレットなどで製品が覆われていると思いますが、
製品面にべったり緩衝材が接触しているのではなくう、所々接触していない部分があるのではないでしょうか?
それが接触面積コントロールです。
あと、マニアックな緩衝性能コントロール方法として、緩衝材の一部に切れ目を入れるという方法もあります。

むかし梱包箱を設計して落下試験を繰り返していた時に、どうしても製品へ加わる加速度が大きくなるので
悩んでいたところ、ある包装設計会社の人が「緩衝材のコーナーに切れ目を入れると加速度を小さくできる」と
教えてくれ、実際にやってみると大きく加速度が変化し、救われたことがありました。
このように接触面積や厚さなど、緩衝設計もやはり寸法でコントロールするものです。
最近はCAEで包装設計を行うようになってきたようなので、昔みたいに現物で落下試験を繰り返す方法も少なくなって
きたと思います。
でもその分、机上検討で寸法を十分に吟味していただきたいものです。


◆執筆者プロフィール------------------------------------------------------------------------------------------------------◆
藤田 哲也
図研テック株式会社 ソリューションエンジニアリング 技監
 1981年沖電気工業(株)入社。無線伝送装置の実装設計、有線伝送装置の実装設計、および取りまとめを経て、
 2002年(株)ジィーサス入社。熱設計・EMC設計・実装技術のコンサルティングや教育に従事。
 2008年から回路・基板・実装に必要なトータル技術を提供する設計サービスに従事している。



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