エンジニア派遣 電気設計/機械設計/システムエンジニアのスペシャリスト「図研テック」
EMC設計の案内人
第38回 EMC設計と熱設計とのトレードオフ①
2018.12.25

こんにちは。図研テックの濱田です。
あっという間に2018年も終わりですね。
皆様の中には今月が年度末で忙しいという方もいらっしゃるかもしれませんが、
ぜひ息抜きにお読みいただければと思います。

今回は今までとはちょっと傾向が変わりますが、EMC設計と熱設計のトレードオフについて
書きたいと思います。

図研テックには熱設計支援ソリューションもあります。
熱設計は私たちではなく、熱設計の専任エンジニアたちが皆様の熱設計の課題解決をサポートしています。
https://www.zukentec.co.jp/service/thermal_design.php
弊社の技監である藤田がメルマガで「基板と熱設計」という連載もしていましたので、
そちらもご興味があればぜひお読みください。

EMC担当と熱の担当エンジニアが同じ会社にいるので、両方困っているというお客様のところには
一緒に伺ったりすることもあります。
それぞれの専任エンジニアが一緒に仕事をする会社は珍しいと思うのですが、私たちは日常的によく
会話をしますし、情報交換もします。
そこで、電子機器設計に対するEMC視点と熱視点での考え方について話もします。
そこで出てくるのがEMCと熱のトレードオフについてです。

「EMCと熱はトレードオフの関係にある」とよく言われるのですが、実際のところどうなのでしょうか?
私は図研テックの熱専任エンジニアから熱設計についてもかなり勉強させてもらいました。
ですから、ここでは私なりの「EMC設計と熱設計のトレードオフ」の考え方をお伝えしたいと思います。
(※ここれ扱う熱設計とは電子機器の放熱についてです。つまり温度を下げるための設計手法です。)

まず、ご存知かもしれませんが、「トレードオフ」の正しい意味をおさらいしましょう。
元々はマーケティング用語のようですが、「何かの目的を達成するために別の何かを犠牲にしなければ
ならない関係のこと」です。
ですから、EMCと熱の関係に置き換えると、「EMCの規格に適合させるために適用した手段が、
結果的に製品や部品の温度を上げてしまい、温度の基準が満たせなくなった」というようなことです。
具体的な例を挙げると、「筐体の通気口がスロットアンテナになっているので塞いだら、
EMCの放射エミッションの規格はクリアできたが、製品や部品の温度が許容温度を超えてしまった」
という場面などがイメージしやすいかと思います。

EMC38-1png.png
この場合どうしたらいいでしょうか?
EMCの規格をクリアできなければ、製品として世に出すことができません。
かと言って、許容温度をオーバーしているのにほったらかしにしていたら何が起こるでしょうか?
火傷の原因になったり、部品の寿命が短くなったり、壊れたり、最悪は発火するかもしれません。
これは大問題です。
このように、EMCと熱はトレードオフの関係になってしまうことが多いのですが、
製品としてはどちらも犠牲にすることはできません。

なぜ、EMCと熱はトレードオフの関係になってしまうのでしょうか?
製品が使用する電気をエネルギーとして考えると、EMCの場合は製品の電気エネルギーを製品内に閉じ込めて、
なるべく外に出さないようにしたいわけです。
一方、熱の場合は温度を下げたいわけですから、エネルギーは外に出したい。
よって、やりたいことが真逆になってしまいます。
また、EMCでは電気エネルギーを減衰させて、電磁波を減らすということもしますが、電気エネルギーを
どうやって減衰させるかというと、熱に変換して減衰させるので発熱量は増えます。
このように、どちらかの事情を優先してしまうと、どうしてもトレードオフの関係になってしまいます。

EMC38-2png.png
EMCと熱、どちらもクリアするためにはどうしたら良いのでしょうか?
どちらもちょうどいいところを探せれば良いのですが、別々に考えているとなかなかそうもいきません。
できれば一緒に考えられれば良いのですが、別々の人が担当していることも多いので、
「どちらも譲らない」ということが起きて、先に進まなくなったり、職場の雰囲気が悪くなったりします(笑)。

先ほどの例で例えると、EMCと熱を両立させるには、EMC側でするべきことは「通気口が塞げないなら、
別の方法で電磁波が減るようにする」ことになりますし、熱側ですべきことは、「通気口をふさぐなら他の
放熱方法を考える」ことになります。
また、それぞれが目的を達成するために取った手段が他方にどんな影響があるのかを知っていることも大切です。

だいぶ前の話になりますが、電波暗室でEMC対策をやっていて、ヒートシンクがアンテナになっていることが
わかり、ヒートシンクを外したら規格をクリアできて、解決したと思って喜んで帰ろうとしたら、
上司に怒られたということがありました。
当たり前です(笑)。
ヒートシンクは放熱のために必要なものだから付いているのですから。

このように、EMCと熱を両立させることは簡単ではありませんが、お互いを知るということが第一歩だと
思います。
そういう点で、EMCと熱の専任エンジニアが両方いるというのは、弊社の良いところかなと思っています。
では、次回はEMC設計と熱設計の違いについて様々な視点から見てみます。
違いをまず整理することによって両立する方法を考えてみましょう。

本年も1年間ありがとうございました。
よいお年をお迎えください。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。


今回の記事はいかがでしたか
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