エンジニア派遣 電気設計/機械設計/システムエンジニアのスペシャリスト「図研テック」
ZUKEN Innovation WORLD
ZUKEN Innovation WORLD 2018
2018.12.13

去る2018年10月18日~19日に開催されました「ZUKEN Innovation WORLD2018」において、
弊社のお客様である 池上通信機株式会社の糸川様より『中継車転倒角度の解析』というタイトルで
ご講演いただきましたので、概要をご説明いたします。

池上通信機株式会社様は撮像技術・画像処理技術・伝送技術を駆使したソリューションを、放送・公共
・医療・セキュリティ・検査といった幅広い事業領域に提供されています。
今回はその中で、ニュースやスポーツ中継等で活躍する放送中継車を例に、モデルベースデザインツール
SimulationXを使った設計課題のフロントローディング化について説明いただきました。
TF2018-1.png






中継車転倒角度の解析
   ~SimulationXを用いた最大安定傾斜角度算出の取組み~

池上通信機株式会社
糸川 一幸 様


放送中継車は皆さんご存知のように、現場で生中継を行うために放送設備一式を搭載した車両です。
このため天井にはアンテナ類、内部には映像・音声を増幅・調整・加工して送出するための機器や
操作台、また床下には電源機器などが実装されています。
またそれらの機器を接続するケーブルも多量に積載されているので、重たいだけでなくそれぞれの
機器の重心位置もバラバラであり、通常の車両に比べると重心位置が高くなっています。
さらにこの中継車のほとんどはカスタム製品であって、ベースとなる車両もその時期によって
違ってくるので、毎回設計する必要があるそうです。

TF2018-2.pngこの中継車を公道で利用するには特殊車両としての車検を
受ける必要がありますが、その中に「空車かつ停止状態の
車両を左右に傾斜させた際、30度で転倒しない」という
条件があり、完成した車両を実際に30度まで傾ける試験が
必須になっています。
このため設計段階で搭載機器の重心位置や車両の属性・
サスペンションやタイヤの撓みなどを意識した設計が必要
ですが、各機器の加重位置に対する変形・変動などを加味
した重心の見積りと設計は経験に負う部分が多く、また検討
要素数が膨大なため、重心検討の技術継承や効率化が課題
となっていました。

この課題解決のために、池上通信機株式会社様はSimulationXを導入されました。
SimulationXは、簡単に言えば製品の物理的機能を設計するためのツールです。
TF2018-3.png
例えば、この中継車の転倒角に対する機能設計とは、中継車に
実装する機器の質量と重心位置を把握し、機器が所定の位置に
実装されたときの重心位置を、車両やサスペンションやタイヤの
撓みを加味して合成し、その合成重心が重力に水平方向でタイヤの
支点を超えないように、各機器の位置や撓みを調整することです。
もし車両・タイヤ・サスペンションなどが変形しなければ、この図
のように断面図上で合成図心を求めればよいのですが、実際には
各要素が撓むため、静止状態の合成重心点を計算するだけでも
大変です。
またこれを、構造解析ツール等を使った検討を行おうとすると、
まずすべての機器を3DCAD等で設計し、その後に搭載機器の配置
変更ごとに長時間の解析が必要となります。



このように今までの物理機能設計は、構造設計者が必要機能を頭に描きながらまず形状設計を行い、それから
機能を検証するという順番でした。

TF2018-4.png
これに対しSimulationXは、形状設計の前に合成重心位置などの機能を設計することができるツールです。
例えばこの合成重心点を検討するには、それぞれの搭載機器の重心位置と質量の条件と、その加重や
モーメントによる構造部材やタイヤ・サスペンションの変形量を、それぞれの部材ごとに数式で表し、
個々の数式を連立させて計算することができます。
SimulationXにはこのような計算を行うための数式モデルをライブラリ化してあり、ユーザは各モデルへの
パラメータ入力と、ボンドグラフ上でそれぞれのモデルをグラフィカルに結線するだけで、あたかも
回路図を描くような感覚で全体の機能モデルを構成することができます。
計算は論理式の連立計算なので、有限体積法などの解析に比べるとはるかに短時間で結果が出るため、
各搭載機器の位置を移動することで合成重心点がどのように変化するかを電卓感覚で検討することができます。
図研テックのThermoSherpaユーザの方には「ThermoSherpaの感覚で、熱だけでなく物理機能全般に使える
構想・昨日設計ツール」と言えば分かってもらえるのではないでしょうか?

池上通信機株式会社様はこのSimulationXを導入し、搭載機器や中継車をモデル化することで転倒角度解析を
フロントローディング化しただけでなく、ベテラン技術者がデータを設定した各モデルの流用性を活用する
ことで、カスタム製品である中継車の設計効率化を大幅に向上させることができただけでなく、技術蓄積・
継承にも取り組まれております。
さらに搭載機器配置による合成重心点のビジュアル化により、ユーザとの打合せもスムーズに進行できるよう
になったそうです。


今回の記事はいかがでしたか
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